小学生の頃から疑問に思っていたことがある。
四年生のころだったと思う。
社会科の教科書に縄文時代のヤジリの挿絵があった。
ヤジリとは狩猟で使う弓矢の先端部分で、三角形の鋭い小さな石だ。
ただ、この石をどのように矢の先端に固定するのか、ずっと疑問に思っていた。
大人になってからも何度も実物を見る機会はあったのだが、疑問は残ったままだった。
YouTubeでは某国立大学の公開講座がアップされている。
先日、日本の先史時代に関するものを見つけたので何気なく観ていた。
件の疑問は意識してなかったが、その動画でヤジリのことを詳しく扱っており、長年の謎が解けた。
ただ7000年前の人々の知恵には驚嘆した。
“根バサミ”という矢の本体とヤジリを接続するカニの爪の様なものがあって、それをコールタールで互いに接着していたというのだ。
コールタールとは現在、舗装に使われるアスファルトと同じものだと思っていい。
更に驚いたことにコールタールは今の秋田県あたりから地面に湧き出た原油から作られたものだそうだ。
その頃から交易が行われていた証拠だ。
他にも、遠く南方の海で採取された貝殻で作られた装飾品が至る所で見つかっている。
採取された場所と発掘された場所が1000kmほど隔たっており、人々の手から手へ物流のネットワークがあったことは間違いない。
当時の人々のバイタリティーと知恵にはまったく驚嘆させられると共に、昨今の情報の豊かさにも感慨深い思いがする。
次回の更新は7月20日(火)です。お楽しみに!