信じていたけど嘘っぽい

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先日、東行庵である企画展があり、なんとなく行ってみた。

東行庵だから高杉晋作にゆかりのあるものだった。

展示物も少なく人影はまばらで、若干の寂しさが漂っていた。

他の見学者がいなくなったので、事務所のドアをノックして学芸員の方に展示の説明をお願いした。

展示物の中に晋作が生まれてから死ぬまでの出来事が事細かに記された年譜があった。

高杉晋作といえば馬関戦争の後始末を見事に取りまとめたことで有名だ。

イギリス特使からの彦島租借要求を晋作は断固拒否。

晋作の横暴で頑なな態度に流石のイギリスも諦めたと言う。

というかそういう説が巷間でも広まっている。

歴史小説にも晋作の大偉業として描かれている。

しかしながら、それが事実としての客観性は極めて乏しい、はっきりいえば嘘っぽいとY学芸員はおっしゃった。

なるほど先ほどの年譜にはその事が全く載ってない。

Yさんいわく 「この年譜の記事は全て資料の裏付けがあるものだけです。彦島租借の話はどこにも証拠がないのです。事実としては根拠がありません。だから業績としてあげられません。」

通訳として立ち会った伊藤博文が後年、自分達の手柄として酒宴の席で盛った 可能性が大きいみたいだ。

長い間、信じていたことが虚偽だったとは・・・。

正直、愕然とした。

まぁ、そうはいっても晋作の存在がなければ明治維新の展開は違ったものになっていたであろうことは間違いない。

そう思い直して慰めた。

歴史上有名な出来事は、後世の人の創作や誇張でかなり嘘っぽいことが多い。

改めてそう思った。

世の中、嘘だらけだ。

次回の更新は9月30日(金)です。お楽しみに!