思い出-Nさんのこと

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皆さん、こんにちは。下関の二武整形・リウマチクリニックのスタッフです。

本日はNさんのことを思い出して、したためてみます。

 

中学校の卒業アルバムがなくなった。

何十年もほったらかしにしてきたせいで、どこに行ったかわからなくなった。

古本と一緒に廃棄してしまったかもしれない。困ったものだ。そんな代物を今更、探しているのには訳がある。

中学三年の頃、好きで好きで仕方なかった人がいた。50年以上も経っているのに。なぜか今頃、思い出す。

名前は苗字しか覚えてない。たしかNだった。

彼女とはクラスが違っていたので、ごくたまにしか会えなかった。

会うと言っても遠目に、チラリと見る程度だ。向こうはこちらの事など意識していなかったに違いない。

それでも廊下ですれ違うことも、たまにはあった。

その時の戦慄を覚えている。

目が合ってしまったらどうしようという恐怖。

自分の本心が暴露されてしまう究極の羞恥。

あの人の前で、顔を上げるなんて絶対無理。

振り返ってみると、あれほど大きな心の躍動が、その後の人生にどれほどあったろうか。そう思うと、短いあのときの一瞬一瞬が鮮烈な輝きを放っていることに気付く。なんでもなかったことが、大切な思い出となることを。

Nさんがその後、どの高校に進学しどんな人生を歩んだかサッパリわからない。存命なのか、そうでないかもわからない。

次回の更新は1月7日(火)です。お楽しみに!