家計簿の力

.

自宅から歩いて十分くらいのところに、小さな居酒屋がある。
夫婦で切り盛りしていたが、奥さんの方が病気で入院したらしく、しばらくの間 店は閉まったままだった。
先日、ふらりと立ち寄ると看板に火が灯って営業再開しているようなので入ってみた。
主人は愛想良く挨拶をしながらアルバイトの女性を紹介した。
始め、ビールでスタートしたが、休業する直前に新しい焼酎のボトルをキープしていたことを思い出した。
主人に告げると、棚にあるたくさんの瓶の中から、わたしの名前のものを出してくれた。ただ、主人は困ったような顔をしている。
聞いてみると 「うちのお客様にT姓のひとが二人いて….」
ボトルの署名は全部、客の自筆によるものではないので決定的な証拠がないと言う。
テーブルのうえのボトルには9月1日 Tと書かれているだけだ。
私は、どうしよう、このまま呑むのもスッキリしない。
と迷っているうちに閃くものがあった。
そうだ、iPadの中の家計簿を見てみよう。
昨年の9月1日の項目を検索する。 有った。
確かに此店に来て、普段より高い支払いの記録があるのを見つけた。
主人に見せると、ホッとされたようで、一件落着とあいなった。
2015年の4月から毎日家計簿をつけているが、いろいろと役に立つことがある。
私がいわゆる真面目な人間ではないにもかかわらず、これほど記帳が続くのは、 便利なアプリのせいであるのは間違いない。

次回の更新は4月3日(金)です。お楽しみに!