「Tさん、これは水仕事のしすぎですよ。」と皮膚科の医師は言った。
手の皮が水虫のように、剥げ落ち赤く腫れていた。
要するに皮膚の脂肪分が洗剤で流されてそうなったらしい。
ワセリンみたいな軟膏をもらって帰った。
以来、水仕事はゴム手袋を使うようにしている。
自炊生活で水仕事が当たり前になって6年になろうとしている。
もともと食事を作ることは苦痛ではなかった。
むしろ好きなのなもしれない。
私がキッチンに立つようになったきっかけは、共働きの妻の帰宅が遅くなることが日常だったからだ。
せっかちな私は、文句を言うより自分で作った方が早いと考え進んで炊事をするようになった。
もう一つ。天国の妻には申し訳ないが、妻は料理が苦手だったと思う。
新婚の頃だった。
妻が料理本を丹念に読み込んで作った作品は散々だった。
作った本人も箸をつけた後、我慢して食べている様子だった。
それを見ながら私は完食した。
愛情という忍耐をもって。
食事の準備で一番大変なこと。
それは何を作るかと言うことだ。
三度の食事の内容を考えることは、相当な労作業だ。
例えばの話、朝と昼を全くの定番とし、夕食のみ日替わりとする。
この夕食のメニューをどうするか。
これが大問題なのだ。
予算、栄養価、好み、偏りの有無、アレルギー、いろどり等の諸条件を満たす一品を 選び出す作業。
これをくる日もくる日も、考えなければならないことが、いかに大変か。
やった者にしかわかるまい。
スーパーの弁当コーナーに人だかりができるのは午後5時ころだ。
店員が2割から3割引きのラベルを貼り出す作業を始めるや否や、我先に好みの品を買い物カゴに放り込んでいく人々。
息子と二人暮らしのわたしも、時々この「手抜き食」でやり過ごす日もある。
週一回くらいの利用でかなり楽ができる。
おまけに経済的だ。
手料理のほうが食材の価格、手間ひま計算すると高額になることがある。
なんだかんだ言って、言いたいことは「おさんどん」は大変と言うことだ。
「おさんどん」という言葉はほとんど死語なのだが「食事の支度」ではあまりに素っ気ないので読者に興味を持っていただけるようテーマとして使用した。
最後に、ジェンダーのせいで否応なく、おさんどんを背負う人たちへ心からのエールを贈りたい。完
(ついでに) 4月末に植え付けたミニトマトは思いの外、生育著しく大収穫でした。
あまり採れるので、途中から毎日、収穫数をカレンダーに書き込んだところ合計すると544個。
記録するまでにとれた分を合わせると、少なくとも800個は収穫出来たとおもいます。
おかげで今年の夏は、トマトを買うことはありませんでした。
アグリカルチャー面白い。
来年も挑戦だ!
次回の更新は10月6日(火)です。お楽しみに!