北海道の根室に花咲ガニで有名な花咲港があります。
ここには一万トン級の船が入れる大きな岸壁もあります。
いつも8月終わりから9月はじめには花咲港はさんま漁船で賑わっています。
一万トン岸壁にもサンマ漁船がたくさん入ってきます。
以前、下関市吉見にある水産大学の練習船に乗船していた時のことですが、総務省からの依頼で北方墓参の方たちを約100名乗船させて国後島、択捉島そして歯舞群島への墓参航海がありました。
これはしばらくの間毎年恒例となり、毎年のように根室花咲港を基地として墓参航海をしました。
その時に水揚げしているサンマの新しさにびっくり!!
漁船からバケットでドサーッと大型トラックの荷台に落とし入れるのですがそのサンマの大きいこと、そして持つとピーンと立つのです。
凍ってもいないのになんで?と漁船の人に聞いてみると「昨夜ここの沖で取れたトメサンマだよ。」とのこと。
なんと死後硬直で硬いのです。
一夜をトメサンマ。
二夜たったのをトメトメサンマと言うそうです。
で、それを買って食べたい、冷凍して家に送りたい。誰もがそう思いますよね。
でも探しても漁港の周りには全然お店が無ありません。
街の人に「すみません、サンマが欲しいのですがどこに売っていますか?」
答「そんなもんバケツ持って漁船に行けばタダでくれるよ」とのこと。
で、その行動に出ました。
「いいよ。持っていきな」
本当でした。
さっそくそのトメサンマを皆で焼いたり刺し身にして食べたらそのうまいこと。
今までのサンマの概念が変わりました。
船の食事で出る冷凍サンマはどうにも古くてパサパサしていてまずい魚のイメージでした。
でもその日から毎年サンマの取れる頃が待ち遠しくなり、スーパーに生サンマが並ぶと新鮮さと脂ののり具合をみて探し回ります。
少しでもあのトメサンマの旨さに近いものがないかと。
所詮こちらでは無理な話です。
下関に来る時には水揚げされてから3日。
スーパーに並ぶのはその次の日。
水揚げ漁港も根室や釧路ではなくて三陸まで下がった頃です。
サンマも脂がなくなり痩せています。
次回の更新は10月4日(金)です。お楽しみに!